こんにちは、おざりんです。

今回は少し目先を変えて、体操に関する本について、
私なりの感想を書いてみました。

よろしければ、ぜひご覧ください。

 

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今回は、「体操五輪書」(たいそうごりんのしょ)。
著者は、塚原直也氏です。

 

 

 

 

 

 

 

 

塚原直也氏は、言わずと知れた、
アテネオリンピック・体操男子団体金メダルメンバーの一人です。

1996年アトランタ・2000年シドニーオリンピックにも出場、
また、全日本個人総合選手権5連覇という、
輝かしい実績を持っておられます。

2016年3月に現役を引退し、
現在は朝日生命体操クラブ総監督を務め、後進の指導に当たっています。

1.作品の背景

この本は、塚原氏自身、

「今までに自分が取り組んできたことや考えてきたことを整理し、
それによって自分の意志を確認し、意志が固まった。
本書の中身は今後指導者として活動していく自分にとっての指南書でもある。」

と書いています。

ご自身の意志を、大好きだという、
剣豪・宮本武蔵の「五輪書」(ごりんのしょ)の構成になぞらえて書くことで、
選手時代を振り返りつつ、ご自身の未来につなげる一冊になっています。

2.内容

本書は190ページと、非常に読み応えのある内容で、
巻頭には幼少期~現役時代のカラー写真、
本文にもところどころ貴重な写真が挿し込まれています。

構成は、

第一章 地の巻 体操選手・塚原直也
第二章 水の巻 成長の歩み
第三章 火の巻 シドニーオリンピック後の戦い
第四章 風の巻 違う世界を見る
第五章 空の巻 人生の成功者になる

です。

全部は説明しきれませんが、
各章で、私が気になった点をかいつまんで説明していきます。

第一章 地の巻 体操選手・塚原直也

この章には、
いかにして「体操選手・塚原直也が誕生したか」が
書かれています。

塚原氏が師事していた指導者の一人・アンドレアノフコーチは、
「体操は紳士のスポーツである。紳士であれ。」
と常に言っていたそうです。

この文章を読んで私が思い出したのは、
平成29年大相撲九月場所・七日目です。

この日の向正面(むこうじょうめん)のテレビ解説は、
東関(あずまぜき)部屋の大山親方(元前頭・大飛)でした。

大山親方は、長年、相撲教習所で新弟子を指導する立場にあり、
また、相撲の決まり手係という要職を務められている方です。

そのテレビ解説の中で、
「力士の”士”は、武士の”士”ですが、
紳士の”士”でもありますので、
“力のある紳士”であってもらいたいと、
それをいつも願っております。」
とおっしゃられていたのが、とても印象的でした。

今回「体操五輪書」を改めて読み返して、
スポーツの根底には
「紳士」という言葉が根付いていることに気付けたのは、
私にとって大きな発見でした。

第二章 水の巻 成長の歩み

この章の中に、「ライバル2号」という項目があります。

私たちは、体操選手について「身体が柔らかい」という
イメージを持ちがちですが、
塚原氏ご自身は身体が硬く、苦労していたとの記述があります。

そして、
「田中佑典選手はやわらかそうに見えるが、
内村航平選手は硬いのでは?」
と、塚原氏独自の考察をされています。

身体はやわらかいに越したことはないが、
「身体が硬いほうが、筋肉が反応しやすい」
利点があるそうです。

私は体操の実績がないので、実体験としては想像できませんが、
見る人が見れば、それは実感として分かるのでしょう。

第三章 火の巻 シドニーオリンピック後の戦い

私がこの本の中で、一番興味深く見たのがこの章でした。

この章の冒頭に「オリンピックおじさんとの出会い」が書かれています。

オリンピックおじさんとは、
オリンピック会場で、金色の帽子をかぶり、
扇子を持って応援している男性です。

 

 

 

 

 

 

 

 

(平成29年5月場所11日目 撮影:おざりん)

オリンピックや大相撲の放送でたびたび画面に映るので、
知っておられる方も多いはず。

本名は、山田直稔(やまだ・なおとし)氏。
御年91歳。
東京オリンピックまで、現地応援を続けることを表明されています。

私も平成29年大相撲5月場所・9月場所で、
実際にオリンピックおじさんを拝見する幸運に恵まれました。
大相撲での応援スタイルには賛否両論あるようですが、
どんな会場でも目立つ存在であることは間違いありません。

塚原氏は、惨敗と言われたシドニーオリンピックの際、
演技前、偶然会ったオリンピックおじさんに、

「オリンピックで金メダルを獲るには、感謝が必要だ。
アトランタ五輪のときのYAWARAちゃん(当時田村亮子さん、
現在は谷亮子さん)はそれが足りずに銀メダルだったけど、
今回は感謝があったから金メダルを獲れたのだよ。」

と単刀直入に言われたそうです。

私はテレビに映る派手目のオリンピックおじさんしか知らなかったので、
選手にこのような言葉をかけていたとは知らず、驚きました。

人生を変える出会いは、いつも突然やってきます。
塚原氏は、シドニーオリンピックでは結果を残せませんでしたが、
オリンピックおじさんの助言を長い間忘れることなく、
アテネオリンピックで結果を出しているところが、
塚原氏の素直さをあらわしています。

第四章 風の巻 違う世界を見る

この章は、体操競技の採点や選手のメンタル、
新技開発までの流れが書かれています。

「体操はいろいろなスポーツの中でも一番難しい部類に入るのは間違いないと思う。」
「体操競技の難しさ、繊細さについて書けば何ページあっても足りないくらいだ。」

と塚原氏はおっしゃっています。

私自身、最近、代表的なスポーツについて、勝敗を決するルールを調べました。

野球・・・相手チームより多くの得点を記録して、勝つことを目的とする。
サッカー・・・時間内により多くの得点を記録したチームが勝ち。
大相撲・・・土俵から出るか、地面に足の裏以外がついた場合、もしくは反則を行った場合、負け。

それに対して体操は、

・演技価値点=Dスコア(Difficulty) 難度A~Iの組み合わせ
・演技のできばえ=Eスコア(Execution) 10点満点からの減点法
・D+Eがその演技の得点。

となります。
難度A~Iの組み合わせは、一演技での上限があるとはいえ、膨大な数になります。

これを見ると、塚原氏が書いているように、体操競技は単純ではなく、
複雑な要素が絡み合って、勝敗が分かれる競技だということが分かります。

また、Dスコア・Eスコアとも人間が判断するため、
毎回正確にジャッジすることがいかに難しいのがお分かりいただけるはずです。
それが体操競技をわかりにくくする一因にもなっているでしょう。

これだけ見ると、この本は難しいことが書いてあるの?と
思われる方もいらっしゃると思いますが、
塚原氏の経験を踏まえ、
初心者にも分かりやすい内容で書かれているので、安心してください。

第五章 空の巻 人生の成功者になる

この章に「スポーツで世界平和を」という項目があります。

その中で、塚原氏は、
「シドニーオリンピックでの失敗から、自分を変えなくてはと思い、
心の奥底に巣くう人間として悪い部分をすべて消し去るのが一番だと思い、
人を決してねたまないようにしてみたが、それは無理だった。」
と書いています。

私自身、最近知ったことですが、

仏教には、
「仏教は、他人と自分を比較するという行為自体を、退けます。
それはわれわれの生き方を不幸なものにするエネルギーになるからです。
比べることをやめれば、幸せが訪れます。
それでもわたしたちは、他人と自分を比べることをやめられないのです。」
という教えがあります。

いわゆる、
「比較は不幸になる」
という考え方です。

塚原氏はそのことを身をもって経験したと言えます。

では、塚原氏はどのように、その悩みを克服したのか・・・。
それは、ご自身の目で確かめて下さい。

シドニーオリンピックについては、第三章に詳しく書かれていますが、
このオリンピックが、塚原氏を変えたことは明らかです。

3.最後に

私がこの本を知ったのは、
杉原愛子選手(朝日生命体操クラブ所属)のTwitterでした。
杉原愛子選手のTwitterはこちらから

発売から少し経った頃だったので、注文して手元に届くまでに、時間がかかりましたが、
体操競技をまだまだ知らない私でも、平易な言葉で書かれていたので、
あっという間に読み終えました(今は以前より在庫があります)。

この本は、体操関係者だけではなく、もっと多くの人に知られてほしい本です。

塚原氏は、惜しくも2016年3月に現役引退されましたが、
その引退セレモニーを間近で見られたのは、私にとって大変貴重な経験でした。

スポーツ観戦も楽しいですが、
時々はスポーツに関する書籍を読んで、
一流と呼ばれる方の考えに触れるのもいいのではないかと私は考えます。

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